地方独立行政法人 栃木県立がんセンター地方独立行政法人 栃木県立がんセンター

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放射線治療科

特長
担当疾患
常勤医師

特長

高エネルギーX線照射/電子線照射(リニアック)

医療用直線加速装置(リニアック)により、X線または電子線と呼ばれる放射線を体外から照射します。疾患によっては、手術や抗がん剤と組み合わせて用いることもあり、スケジュールは様々ですが、2~8週程度の治療期間が必要です。放射線治療単独であれば通院による照射も可能です。基本的には、平日に1日1回照射を行います。1回の治療時間は5~20分です。2016年4月に体幹部定位放射線治療(SBRT:stereotactic body radiotherapy)を可能とするリニアック装置を導入しました。疾患部位に対し、人の動き(呼吸移動)に合わせた限局的な放射線照射が可能となり、患者さんの身体への負担を軽減できます。
 

IMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy=強度変調放射線治療)

照射範囲内の放射線強度を変化させ、隣接する正常組織の線量を抑制し、標的病巣の形状に合わせた照射が可能となります。当センターでは、前立腺がんを中心に行っており、県内はもとより、日本でも屈指の症例数を担当しています。


IGRT (Image-Guided Radiotherapy=画像誘導放射線治療)

小さな病巣に放射線をあてる場合や、正常組織にがんが隣接している場合は、患者の位置決め(セットアップ)が非常に大切です。そこで、リニアックに搭載された診断用X線装置を用いて、照射開始直前に治療台にて、CT画像(CBCT:cone-beam computed tomography)を撮影し、基準となる治療計画CT画像と位置照合を行います。ミリ単位での位置照合が可能となり、正常組織に放射線があたることを最小限にし、治療を安全に行うことができます。


体幹部定位照射

孤立性肺腫瘍(組織学的に肺がんとの確定診断に至った場合、あるいは組織的に肺がんとの確定には至っていないが臨床的に肺がんの可能性が濃厚と判断される場合)に1回大線量で数回の照射を行います。準備期間を除くと数日間の治療です。

  • 臨床病期ⅠA期の肺がんである
  • リスク臓器と呼ばれる有害事象をきたす可能性のある臓器と一定の距離がある
  • 手術が困難または手術を希望されない
  • 担当医師が治療に適する全身状態であると判断した

これらの全てを満たす場合に本治療を考慮します。

これまで国内で開発されてきた2種類の線量スケジュールをランダム化して比較する多施設共同の臨床試験を実施しています(JCOG1408試験)。

治療計画CT

治療開始日の前日までに放射線治療計画用CT画像を取得し、三次元治療計画を行います。臓器・組織の位置情報と密度(電子密度)を考慮して線量計算を行うことで、精度の高い外照射が可能となります。16列のX 線検出器を搭載しており、高速撮影も可能です。
 

治療計画装置

治療計画CTで撮影した画像をもとに、標的と正常組織を定義し、標的に対してビームの入射方向や照射野及び投与線量を規定し、線量分布を取得します。その後、線量体積ヒストグラム(DVH:dose volume histogram)により、標的への線量均一性や正常組織への線量がどの程度付与されるか評価します。


X線シミュレータ装置

リニアックと同様の幾何学的配置を有し、X線透視を使って二次元の治療計画が可能です。主に、単純な位置決めや、緊急を要する照射の際に使用します。上肢、下肢、体幹部の骨病変の治療計画に有用な装置です。
 

イリジウム-192を用いた小線源治療(子宮頸がんなど)

粒状の小さな放射性物質イリジウム-192を用いた腔内照射を実施しています。主に、子宮頸がんを対象としており、あらかじめ子宮腔内に器具を挿入し、その内部に小線源を一時的に配置する治療法です。医師をはじめとしたスタッフの被曝を防止するために、遠隔で小線源を操作することから、ラルス(RALS:Remote After Loading System)と呼ばれています。2015年4月、RALS照射室に専用CTを設置し、三次元計画が可能となりました。画像誘導小線源治療(IGBT:image-guided brachytherapy)と呼ばれ、腫瘍に高線量を照射しつつ、膀胱・直腸等の正常組織に対する線量を正確に評価できることが特徴となります。また、砕石位(婦人科検診と同じ体位)を保持したまま、器具の挿入、CT撮影、三次元計画、照射等の一連の手技が同一の部屋で可能となり、より安全な治療を提供することができます。

ヨウ素-131内用療法(甲状腺がん、甲状腺全摘後)

放射性ヨウ素-131カプセルを経口内服します。分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん)の甲状腺全摘後で必要な症例に対して隔離入院または外来で実施しています。甲状腺全摘後の補助療法や、再発・転移病変の制御に用います。入院の場合は3から5日程度の入院が必要です。治療前2週間のヨウ素制限が必要です。近年は取扱い施設が減少しているため、全国的に6から12ヶ月を超える入院待ちが必要となっています。入院による大量投与については県内唯一の実施施設で、近県の治療患者さんの受け入れも行っています。

担当疾患

  • 放射線治療対象となるすべてのがん

常勤医師

放射線治療科 科長
緩和ケアセンター 副センター長

井上 浩一

いのうえ こういち

専門分野・実績

放射線治療

認定資格

放射線治療専門医
PET核医学認定医
がん治療認定医

所属学会

日本医学放射線学会
日本放射線腫瘍学会
日本核医学会
日本緩和医療学会 代議員
日本サイコオンコロジー学会 代議員
日本がん治療学会
日本臨床腫瘍学会
日本血液学会
日本頭頸部癌学会
日本乳癌学会
日本婦人科腫瘍学会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会

放射線治療科 医師

片野 進

かたの すすむ

専門分野・実績

放射線治療
群馬大学卒 医学博士

認定資格

放射線治療専門医

所属学会

日本医学放射線学会
日本放射線腫瘍学会