特長
1.治療方針
乳癌の治療では繊細な術前診断と適確な病理診断が求められ、これにより術前術後の適切な薬物療法や放射線治療が決定し、施行されます。我々は多職種による乳腺カンファレンスにより手術症例や術後病理診断の検討などを行い、乳癌診療の総合力向上を図っています。さらに術前化学療法による乳房温存率の向上やセンチネルリンパ節生検による腋窩郭清の省略で積極的に手術方法の縮小化を行うとともに、広範な病変に対しては同時再建も行い、整容性と根治性のバランスの取れた、患者さんのメリットとなる治療を心がけております。
進行・再発症例の治療に関しては多職種(放射線治療科、骨軟部腫瘍・整形外科、緩和ケア科、ゲノムセンター、認定看護師など)と連携しながら、患者さんの希望にも十分に配慮した、質の高い医療の提供を目指しています。
2.乳房温存療法
乳房温存療法は、放射線治療を組み合わせることで乳房切除術と同等の生存成績を示すことが証明されて以来徐々に増加しておりましたが、2013年の人工乳房による乳房再建術の保険適用に伴い、乳房温存手術は以前より減少傾向にあります。2021年には手術件数(270例 279側乳癌)の38%(105側乳癌)に乳房温存手術を行いました。
3.術前薬物療法
乳房温存手術の適応となる腫瘍径は基本的には3cm以下と考えられ、3cmを超える腫瘍径の患者さんには術前化学療法またはホルモン療法を行い、腫瘍縮小がみられ、断端陰性で整容性が保てる場合には温存手術を実施しています。手術件数の19%、53件は術前化学療法を受け、そのうちの19%、10件で乳房温存手術を施行しました。
4.センチネルリンパ節生検
2002年より開始したセンチネルリンパ節生検も徐々に適応を拡大し、2021年には手術件数の78%に施行しました。そしてセンチネルリンパ節生検を受けた217件のうち207件は非郭清で対応しました(センチネルリンパ節転移がみられるが微小転移等で非郭清対応とした25件を含む)。非浸潤癌等で腋窩非処置例14件を含めた計221件(手術件数の79%)では、センチネルリンパ節生検のみまたは腋窩非処置で対処することができました。
5.乳房再建術
乳房全摘の適応で乳房再建術希望のある患者さんには、形成外科と連携し乳房再建術を施行しております。2021年は組織拡張器による同時乳房再建術を当センターにて13例に施行しました。
6.術後薬物療法・放射線治療
乳癌治療は、術後のQOL(生活の質)の維持と生存率/局所コントロール率の向上を両立させながら行わなければならないため、正確な術前診断に基づく低侵襲手術と適確な術後病理診断に基づく薬物療法、放射線治療の実施が必要となります。そのような観点から、キャンサーボード(多職種カンファレンス)で手術症例や術後病理診断の検討を行い、適切な術後薬物療法と放射線治療を決定しています。術後化学療法の実施に迷う症例に関しては、オンコタイプDX検査(乳癌組織を用いた多遺伝子解析検査で再発リスクや術後化学療法の治療効果の予測ができる検査)も実施可能です。
担当疾患
悪性腫瘍
- 乳癌
- 悪性葉状腫瘍 など
良性疾患
- 乳腺良性腫瘍(線維腺腫、乳管内乳頭腫、良性葉状腫瘍)
- 乳腺症
- 乳腺炎 など
常勤医師
![](/department/rmhoad00000003vh-img/ando.jpg)
理事 兼 病院長
(乳腺外科 科長 兼務)
超音波センター長
TQMセンター長
感染症対策センター長
患者支援センター長
安藤 二郎
あんどう じろう
専門分野・実績
慶應義塾大学卒
認定資格
日本外科学会外科指導医
日本乳癌学会乳腺指導医
日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構乳がん検診超音波実施・判定医師
![](/department/rmhoad00000003vh-img/takemae.jpg)
乳腺外科 医長
竹前 大
たけまえ まさる
専門分野・実績
日本医科大学卒
認定資格
日本外科学会外科専門医
日本乳癌学会乳腺認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構乳がん検診超音波実施・判定医師
![](/department/rmhoad00000003vh-img/toyota_t.jpg)
乳腺外科 医長
豊田 知香
とよた ともか
専門分野・実績
慶應義塾大学卒
認定資格
日本外科学会外科専門医
日本乳癌学会乳腺認定医・専門医
日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構乳がん検診超音波実施・判定医師
![石川 結美子](/assets/images/dummy.png)
乳腺外科 医師
石川 結美子
いしかわ ゆみこ
専門分野・実績
山口大学卒
認定資格
日本外科学会外科専門医
日本乳癌学会乳腺認定医
日本乳がん検診精度管理中央機構検診マンモグラフィ読影認定医