地方独立行政法人 栃木県立がんセンター地方独立行政法人 栃木県立がんセンター

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肝胆膵外科

特長
担当疾患
常勤医師

特長

他科と連携した集学的治療

当センターでは、外科医、腫瘍内科医、内視鏡医、放射線科医、病理医などが参加するキャンサーボード(多職種カンファレンス)を開催し、各々の症例について診断から治療法まで幅広く検討したうえで診療を行っています。

肝細胞癌に対しては外科的切除が最も有効な治療法ですが、手術以外にも局所療法(ラジオ波焼灼術:RFA, マイクロ波凝固療法:MCT)、カテーテル治療(動脈塞栓術や動注療法)や化学療法など様々な治療法があり、IVR科や腫瘍内科と協力し、症例個々に適した治療方針を検討して高いレベルでの集学的治療を行っています。

難治性として知られる膵癌の治療について、これまでに国内ではトップクラスの治療成績を提供してきました。精度の高い手術に加え、最近では手術前・後の補助化学療法を積極的に導入することで、さらなる治療成績の向上に努めています。

高難度手術に対応

日本肝胆膵外科学会の厳しい審査により認定された高度技能専門医2名が中心となり、高難度の手術を行っています。他施設で切除不能と診断され当センターに紹介された症例に対しては、カンファレンスで手術適応を慎重に検討し、根治性があれば血管合併切除などの拡大手術を積極的に行っています。当センターは、年間50例以上の高難度手術を行う<b>高度技能専門医修練施設(A)認定を受けており、年平均60例以上の高難度手術の実績があります。

切除不能を切除可能にする最新化学療法

切除不能膵癌に対して、modified FOLFIRINOX療法やGEM/nab-PTX療法などの強力な多剤併用化学療法を行い、腫瘍の縮小や遠隔転移の消失を認め、切除可能となった症例を複数経験しています。このようないわゆる”conversion”症例が今後さらに増加する可能性もあり、膵癌の治療体系の進歩が期待されています。

切除不能大腸癌肝転移症例に対しては、まずは化学療法が適応であり、当センターでも多種の抗がん剤と分子標的薬剤を併用した最新のレジメンを積極的に用いています。化学療法が奏効し肝転移巣の縮小がみられ切除可能となれば、積極的に手術治療を選択し治癒を目指します。

最近では有効な抗腫瘍効果を示す免疫チェックポイント阻害剤や遺伝子変異をターゲットにした新規の薬剤も登場し、日々治療の選択肢は広がっています。タイムリーに治療を提供できるよう準備しています。

低侵襲治療、鏡視下手術

肝細胞癌の局所療法として、腹(胸)腔鏡下マイクロ波凝固やラジオ波焼灼(RFA)術を導入しています。また、肝部分切除や肝外側区域切除、最近では区域切除や肝葉切除においても、腹腔鏡下肝切除術を積極的に行い良好な術後QOL(生活の質)を得られています。

膵切除にも、膵体尾部切除を中心に腹腔鏡下手術を導入しています。

豊富な経験による積極的な血管合併切除

遠隔転移を伴わない膵癌に対して、唯一治癒が期待できる治療法は遺残のない切除のみです。私たちは豊富な臨床経験をもとに、血管合併切除を積極的に行うことで膵癌の切除率を向上させ、さらに化学療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療を取り入れることで良好な治療成績(長期予後)を得ています。

胆道癌に対する肝切除と術後肝不全予防策

胆道癌の治療は、「切除できるかどうか」で治療の見通しが大きく変わります。現在のところ、胆道癌を根治できる治療法は手術による切除のみですが、胆道癌の中でも、肝門部胆管癌や胆嚢癌では根治切除にしばしば大量肝切除が必要となり、手術には専門的で高度な知識や技術が必要です。

術後肝不全を防ぐために必須となる残肝容量の推定には、コンピュータによる残肝ボリューム測定を導入し、正確な評価を行っています。

大量肝切除を要する手術の際には、残肝予定量の増加を目指して術前に経皮経肝門脈塞栓術を施行しています。

臨床試験参加での新規の試験治療を受けられる可能性を提供

当院では全国のがんセンターと共同で多施設での臨床試験による治療開発も行っています。当科がこれまでに参加した肝胆膵領域癌の新規治療の臨床試験の中には、有効性が確認されその後の標準治療となったものも複数あります。(JASPAC01:膵がん補助化学療法における塩酸ゲムシタビンとS-1の第Ⅲ相比較試験、Rrep-02/JSAP-05:切除可能膵癌に対する術前化学療法としてのGemcitabine+S-1療法(GS療法)の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験など)。最新、最良の治療を最速で患者さんに提供できるよう取り組んでいます。<br>

現在当科で行っている臨床試験について、患者さんが適格性を満たせば新規治療を受けることができる可能性もあります。

 

 

現在、当科で参加している臨床試験

試験名  
ASCOT 根治切除後胆道癌に対する術後補助療法としてのS-1療法の第Ⅲ相試験
LAPC-
mFOLFIRINOX/
GnP-rP2
局所進行膵癌を対象としたmodified FOLFIRINOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法のランダム化第Ⅱ相試験
GENERATE 遠隔転移を有するまたは再発膵癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法/modified FOLFIRINOX療法/S-IROX療法の第Ⅱ/Ⅲ相比較試験
NABICAT 切除可能胆道癌に対する術前補助化学療法としてのゲムシタビン+シスプラチン+S-1(GCS)療法の第Ⅲ相試験
TOPIC-NEC 消化管・肝胆膵原発の切除不能・再発神経内分泌癌(NEC)を対象としたエトポシド/シスプラチン(EP)療法とイリノテカン/シスプラチン(IP)療法のランダム化比較試験
SPRING study 切除可能肝細胞癌に対する陽子線治療と外科的切除の非ランダム化同時対照試験
J-BALLAD 治癒切除後病理学的Stage Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ 小腸腺癌に対する術後化学療法に関するランダム化比較第Ⅲ相試験(当科では十二指腸癌が対象)
STARTER-NET 消化管・膵原発の切除不能進行・再発神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス単剤療法とエベロリムス+ランレオチド併用療法のランダム化第Ⅲ相試験

担当疾患

悪性疾患

  • 肝細胞癌・ 肝内胆管癌
  • 胆道癌 (胆管癌(肝門部領域胆管癌/遠位胆管癌)・胆嚢癌・乳頭部癌)
  • 膵臓癌・膵神経内分泌腫瘍
  • 転移性肝腫瘍
  • 十二指腸癌

良性疾患

  • 良性膵腫瘍
  • 慢性膵炎
  • 胆石・胆嚢炎
  • 胆管炎・胆管狭窄

常勤医師

理事長 兼 センター長
肝胆膵外科 兼務

尾澤 巌

おざわ いわお

専門分野・実績

慶應義塾大学卒

認定資格

日本外科学会外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医
日本消化器病学会専門医・指導医
慶應義塾大学医学部客員教授(外科学)
日本肝胆膵外科学会評議員

診療日

【一般外来】
火(午前)

【肝がん予防外来】
水(午前)

【精検外来】
月(午前・午後)
金(午前・午後)

【セカンドオピニオン外来】
(主に肝)
水(午後)
金(午後)

統括診療部 部長
肝胆膵外科・消化器内科 科長 兼務
患者支援センター 副センター長

富川 盛啓

とみかわ もりあき

専門分野・実績

慶應義塾大学卒 医学博士

認定資格

日本外科学会外科専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医・評議員
日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構認定医
慶應義塾大学医学部客員講師(外科学)

診療日

【一般外来】
水(午前)

肝胆膵外科 副科長

白川 博文

しらかわ ひろふみ

専門分野・実績

愛媛大学大学院卒 医学博士

認定資格

日本外科学会外科専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医・評議員
日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
消化器がん外科治療認定医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本胆道学会指導医(癌外科治療)
日本膵臓学会指導医(癌外科治療・癌薬物療法)
獨協医科大学臨床教授
日本がん治療認定医機構認定医
ロボット支援膵体尾部切除プロクター

診療日

【一般外来】
水(午前・午後)

三木 厚

肝胆膵外科 副科長

三木 厚

みき あつし

専門分野・実績

岡山大学卒

認定資格

日本肝胆膵外科学会評議員
消化器がん外科治療認定医
日本外科学会外科専門医・指導医
日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
日本膵臓学会指導医

肝胆膵外科 医長

石井 政嗣

いしい まさつぐ

専門分野・実績

東京医科大学卒
慶應義塾大学大学院(単位取得)医学博士

認定資格

日本外科学会外科専門医
日本消化器外科学会消化器外科専門医
消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会評議員
日本肝臓学会肝臓専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本がん治療認定医機構認定医
日本移植学会移植認定医
身体障害者福祉法第15条指定医(肝臓機能障害)
臨床研修指導医
ICD( Infection Control Doctor)認定医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医

診療日

【一般外来】
金(午前)

名誉理事長
(肝胆膵外科 兼務)

菱沼 正一

ひしぬま しょういち

専門分野・実績

慶應義塾大学卒 医学博士

認定資格

日本外科学会外科専門医・指導医
日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会高度技能指導医
慶應義塾大学医学部客員教授(外科学)

診療日

【一般外来】
金(午前)

【精検外来】
水(午前・午後)

【セカンドオピニオン外来】
(主に胆・膵)
火(午後)
第2週のみ

水(午後)
第1,第3,第4,第5週