地方独立行政法人 栃木県立がんセンター地方独立行政法人 栃木県立がんセンター

English

CT診断装置CT診断装置

各検査のご案内

肺コース

肺がんは最も死亡者数の多いがんで、年間約6万人の方が亡くなっています。肺がんの最大の危険因子はタバコ(喫煙)です。
タバコをよく吸う人は肺がんにかかる危険性が高く、喫煙指数(一日の本数✕喫煙年数)が600以上の人は肺がんのハイリスク群(高危険群)です。タバコを吸わない人も肺がんにかかります。
40歳以上の方、喫煙者の方に肺がん検診をお勧めします。

胸部CT検査

  • どんな検査?
1回の息止めで肺全体を連続的に撮影します(マルチスライスCT使用)。
  • 何がわかる?
通常のレントゲン写真では検出することが難しい小さながんを見つけることができます。

喀痰細胞診  ※オプション検査

  • どんな検査?
3日分の痰を採取して提出します。喫煙者は肺の入口に近い気管支(空気の通り道)にがんができることがあり、この検査で調べます。喫煙者(過去における喫煙者を含む)の方にお勧めします。ただし、痰が出ないと検査はできません。
  • 何がわかる?
痰にがんを疑う異常な形の細胞が混じっていないか、顕微鏡を用いて調べます。

甲状腺コース

甲状腺超音波検査装置
甲状腺の病気は女性に多く見られる病気の一つで、自律神経失調症や更年期障害とまちがわれやすく、甲状腺の働きの異常や病気に気づいていない方もいます。甲状腺は体の成長発育やエネルギー代謝に必要な甲状腺ホルモンを作っています。このホルモンが多すぎたり(=甲状腺機能亢進)、足りなくなる(=機能低下)といろいろな症状がでてきます。

甲状腺超音波検査

  • どんな検査?
超音波を用いて甲状腺などに病変が無いかを調べます。
  • 何がわかる?
通常のレントゲン写真では検出することが難しい小さながんを見つけることができます。

甲状腺関連ホルモン  ※オプション検査

  • どんな検査?
3日分の痰を採取して提出します。
  • 何がわかる?
痰にがん細胞が混じっていないか、顕微鏡を用いて調べます。

食道・胃コース

胃がん検診
日本人に多いがんで、男女合わせると罹患数が2位のがんです。死亡率は減少していますが、死亡者数は肺がんに次いで2番目に多いがんです。年齢とともに胃がんにかかる確率は増加します。
また、食塩を多くとる地域に多いことが知られています。40歳を過ぎたら胃がん検診受診をお勧めします。

上部消化管内視鏡検査

  • どんな検査?
前日の19時までに食事を済ませていただき、内視鏡を口から挿入して検査します。
  • 何がわかる?
食道・胃・十二指腸にがん・ポリープ・炎症・潰瘍などがないか調べます。

糞便中抗原測定(ヘリコバクタ・ピロリ菌)検査  ※オプション検査

  • どんな検査?
1回分の便を採取して検査します。
  • 何がわかる?
便を採取して、胃がヘリコバクタ・ピロリ菌に感染していないか調べます。

肝・胆・膵コース

肝臓がん、胆嚢がん、膵がん検診の様子
肝臓がん、胆嚢がん、膵がんはいずれも5年生存率が低く、難治がんに含まれます。これらのがんの早期には特徴的な症状はありません。肝臓がんは男性では40歳から、女性では50歳から増えてきます。胆嚢がんは50歳を過ぎると、膵臓がんは45歳を過ぎるとかかる可能性が高くなります。肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がんの検査は「腹部超音波検査」を行います。

腹部超音波検査

  • どんな検査?
腹部にゼリーを塗り、機械(探触子)で腹部全体を観察していきます。痛みなど伴わずできる検査です。
  • 何がわかる?
肝臓・胆嚢・膵臓などに病変がないか調べます。

血液検査 肝炎ウイルス関連(HCV-RNA、HBV-DNA) ※オプション検査

  • どんな検査?
血液を採取します。
  • 何がわかる?
C型肝炎・B型肝炎ウィルスに感染しているかを調べます。

大腸コース

大腸がん検診のようす
食生活の欧米化とともに大腸がんにかかる人は増加しています。
結腸と直腸とを合わせると、男性では3番目に、女性では2番目に罹患率の高いがんです。40歳を過ぎたら大腸がん検診をお勧めします。大腸・直腸がんの検査は「便潜血検査」を行います。

下部消化管内視鏡検査

下部消化管内視鏡検査は現在、休止中です。
  • どんな検査?
自宅にて前処置をしていただき、肛門から内視鏡を挿入します。
  • 何がわかる?
炎症、ポリープ などの病変の有無などを調べます。

便潜血検査

  • どんな検査?
便を二日分採取して検査します。
  • 何がわかる?
消化管からの出血の有無を調べます。

前立腺コース

試験管
前立腺がんは男性が3番目に多くかかるがんで、近年急速に増加しています。初期の前立腺がんには特有の自覚症状はありませんが、「PSA検査(血液検査)」を行うことで早期の発見が可能です。PSA検査は簡便で優れた検査法で、80-90%の前立腺がんが1回の検査で診断できます(確定診断には生検が必要です)。
前立腺がんは年齢が高くなるにつれ、かかる可能性が高くなります。50歳を過ぎたら前立腺がん検診受診をお勧めします。ご家族に前立腺がんにかかられた方がいる場合は前立腺がんになる危険が高くなることが知られています。対象にあたる方は、40歳からの検診受診をお勧めします。

腫瘍マーカー(PSA)

  • どんな検査?
血液を採取して検査します。
  • 何がわかる?
前立腺の病変の有無を調べます。

乳腺コース

乳腺超音波検査
女性のがんで最も多いのが乳がんです。乳がんにかかる人は30歳より増加し始め、40歳代で最も多くなります。30歳を過ぎたら、女性の方は早期発見のできる乳がん検診受診をお勧めします。乳がんの検査は「マンモグラフィ」と「乳腺超音波検査」を行います。若年者の方や乳房の発達した方は乳房超音波検査を、40歳以上の方は乳房超音波検査とマンモグラフィの両方の検査をお勧めします。 なお、豊胸術にて乳房内にシリコンなどを挿入されている方は、検診では十分な検査が行えない可能性があります。 また、マンモグラフィでは挿入物が破損する危険性がありますので、検診はできません。

乳腺超音波検査

  • どんな検査?
胸にゼリーを塗り、機械(探触子)で乳房全体を観察していきます。痛みなど伴わずできる検査で、女性技師が担当します。
  • 何がわかる?
乳腺超音波検査は、「さわってもわからない小さなしこり」の癌を発見するのを得意とします。

マンモグラフィ検査

  • どんな検査?
2方向からX線画像を撮影します。女性技師が担当します。乳房の腫瘍やしこりの有無を検出。
  • 何がわかる?
しこりとして触れる以前の小さな乳腺組織の石灰化などを調べます。

子宮頸部コース

子宮頸がんは20歳から40歳代前半の若い年齢層の女性で増加しています。20歳以上の女性の方は子宮頸がん検診をお勧めします。
子宮頸がんの検査は婦人科専門医が「内診」と「子宮頸部細胞診」を行います。

内診

  • どんな検査?
腟鏡を用いて子宮頸部の状況を観察します。
  • 何がわかる?
腫瘍の有無など調べます。

子宮頸部細胞診検査

  • どんな検査?
子宮の入り口(頸部)の粘膜の細胞を採取します。
  • 何がわかる?
がんを疑う異常な形の細胞の有無を調べます

ヒトパピローマ核酸検査 ※オプション検査

  • どんな検査?
子宮の入り口(頸部)の粘膜の細胞を採取します。
  • 何がわかる?
子宮頸がんになる前の状態(異形成)の原因となるウィルス(HPV)に感染しているかの有無を調べます。

口腔コース

口腔コースは、歯および歯周組織、口腔粘膜、顎骨、唾液腺の診察を行います。歯や歯周組織に関連した病気以外に、舌や頬粘膜などの口腔粘膜にできる病気や、上下の顎骨内に生じる病気、舌下腺、顎下腺などの唾液腺に生じる病気の検診を行います。舌や下顎歯肉、頬粘膜などに生じる口腔がんは、日本において年間約18,800人(2014年)が発症しています。現在、高齢化に伴い口腔がん罹患者数も増加傾向にあります。口腔がんは、咽喉がん、食道がん、胃がんの既往がある方や喫煙や飲酒の嗜好がある方は口腔がんにかかるリスクが高く、年に1回程度の定期的な口腔検診をお勧めします。

顎X線検査

  • どんな検査?
顎周辺のX線撮影を行います。
  • 何がわかる?
歯、およびは周辺組織、口腔粘膜、顎骨、唾液線などの病変の有無を調べます。

口腔内診察

  • どんな検査?
口腔外科の医師が視診・触診にて口腔内を検査します。
  • 何がわかる?
口腔内及び口腔周辺の病変の有無を調べます。

オプション血液検査

オプション血液検査の様子
血液を採取し、腫瘍マーカーや肝臓病・腎臓病・脂質代謝異常・糖尿病・貧血・感染症・リウマチなどを調べる検査です。選ぶ項目によって、食事制限が必要となる場合があります。
腫瘍マーカーとは、がんの種類によって特徴的に作られるタンパク質などの物質です。がん細胞やがん細胞に反応した細胞によって作られます。がんの有無やがんがある場所は、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、画像検査など、その他の検査結果も合わせて、医師が総合的に判断します。そのため、当院の施設検診では、オプション検査としてご案内しております。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは、がんの進行とともに増加する生体内の因子で、主に血液中に遊離している因子を抗体を用いて検出します。しかし、多くの腫瘍マーカーは健康な人の血液中にも存在しています。


検査項目 この検査でわかること
CEA 甲状腺・肺・胃・大腸・子宮、その他の多くの臓器のがんや肺炎や肝硬変、膵炎、結核、糖尿、腎不全、喫煙などで上昇することがあります。
CA19-9 肺・胃・肝臓・胆嚢・膵臓・大腸・卵巣など多くの臓器のがんや膵炎や肝炎などで上昇することがあります。
AFP 肝細胞がんや肝炎や肝硬変などで上昇することがあります。
SCC 肺・食道・子宮などのがんや気管支などの上気道疾患などで上昇することがあります。
PSA 前立腺がんや前立腺の炎症や前立腺の肥大で上昇することがあります。
※男性が対象となります。
CA125 卵巣・子宮などのがんや子宮内膜症や良性の卵巣腫瘍などで上昇することがあります。
※女性が対象となります。
CA15-3 乳がんや卵巣がんや良性の乳腺疾患などで上昇することがあります。
※女性が対象となります。


※腫瘍マーカーは、現在がんに罹っているかどうかを血液だけで診断できる検査ではありません。   
腫瘍マーカー検査を受ける方は、検診コースに併せて受診してください。

一般A(末梢血、肝・腎機能など)

一般Aで行う血液検査は次のとおりです。

検査項目 この検査で分かること
WBC
(白血球数)
白血球は細菌などを貪食し、殺菌する働きや免疫情報を伝達する働きなどしています。血液疾患や炎症性疾患の診断・経過観察などに用いられます。
RBC
(赤血球数)
赤血球は骨髄でつくられ、体の細胞に酸素を運ぶ働きをしています。多血症などで増加し、貧血などで減少します。
Hb
(ヘモグロビン)
血液の赤い色は赤血球に含まれるヘモグロビンによるもので、赤血球の働きの中心的役割をしています。貧血の有無などを調べる検査です。
Ht
(ヘマトクリット値)
ヘマトクリットは、一定量の血液中に含まれる赤血球の割合を調べる検査です。
Plt
(血小板数)
血小板は出血した時に、血栓を作り出血を止める重要な働きをします。出血傾向の有無や血液疾患の診断・経過観察などに用いられます。
ALB
(アルブミン)
肝臓で合成される水溶性の蛋白質です。栄養状態の悪化や肝障害の程度を反映して低下します。
T-BIL
(総ビリルビン)
ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンが分解してできる黄色い色素です。肝臓の機能や黄疸の有無などを調べる検査です。 
ALP
(アルカリフォスファターゼ)
肝・骨・胎盤・小腸の働きに関係がある酵素で肝・胆道疾患や骨の病気などで上昇します。
ALT
(GPT)
「トランスアミナーゼ」とも呼ばれています。ALTは肝・腎・心筋など多くの臓器組織細胞中に含まれています。これらの臓器が障害された際、血液中に出てくるため高値になります。ALTはASTに比べて肝(障害)に特異性が高いといわれています。
LDH
(乳酸脱水素酵素)
あらゆる組織、とくに、心臓の心筋・肝臓・腎臓・骨格筋・血球に多く含まれています。それらの組織に障害がないかを調べる検査です。
γ-GTP
(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)
肝臓・胆道系の機能を調べる検査です。肝障害、飲酒によっても上昇します。
UN
(尿素窒素)
腎臓の機能を調べる検査です。腎不全・火傷や大量のたんぱく質を摂取した場合に上昇します。
CRE
(クレアチニン)
腎臓の機能を調べる検査です。腎臓の機能が低下すると血液中に増えてきます。食事などの影響をうけないため腎機能のすぐれた指標になります。

一般B(末梢血、肝・腎機能、糖など)

一般Bで行う血液検査は、一般Aの検査に次の検査が加わります。

検査項目 この検査で分かること
AMY
(アミラーゼ)
膵臓や唾液腺より分泌される消化酵素です。慢性・急性膵炎や耳下腺炎で上昇します。
AST
(GOT)
「トランスアミナーゼ」とも呼ばれています。ASTは肝・骨格筋・心筋・腎・赤血球など、多くの臓器組織細胞中に含まれています。これらの臓器が障害された際、血液中に出てくるため高値になります。
ASTは骨格筋にも多く含まれているので筋肉運動でも高値になります。
CHE
(コリンエステラーゼ)
肝臓で合成される酵素で、主に肝臓が障害を受けると低値になります。
BS
(血糖)
血糖とは血液中のブドウ糖のことです。糖尿病発見の手がかりになる検査です。食事によって変動(食後は上昇)するため通常は空腹時に採血します。
HbA1C(NGSP)
(グリコヘモグロビンA1)
糖尿病がどの程度コントロールできているかを調べる検査です。
過去1~3ヶ月の血糖の状態をみることができます。食事の影響は受けません。

一般C(末梢血、肝・腎機能、糖、脂質など)

一般Cで行う血液検査は、一般Bの検査に次の検査が加わります。

検査項目 この検査で分かること
TC
(総コレステロール)
主に肝臓で作られるため、肝臓での合成・分泌の状態、腸管での吸収や栄養状態のひとつの目安となります。動脈硬化性疾患や糖尿病などで高値になることがあります。
HDL-C
(HDLコレステロール)
「善玉コレステロール」とも呼ばれ、低値は動脈硬化性疾患の危険因子とされています。
LDL-C
(LDLコレステロール定量)
「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、高値は動脈硬化性疾患の危険因子とされています。
TG
(中性脂肪)
動脈硬化性疾患の危険因子といわれています。過食、飲みすぎ、運動不足などは高値の原因になる場合があります。
UA
(尿酸)
魚介・肉・豆類などたんぱく質の豊富な食物にはプリン体が多く含まれています。
このプリン体の最終産物(老廃物)が尿酸です。尿酸が増えすぎると痛風の原因になります。
Ca
(カルシウム)
骨代謝やホルモンの分泌や生成に関与しています。副甲状腺や骨疾患・腎不全などで異常値をしめします。
Fe
(血清鉄)
貧血の病態把握を行うための検査です。鉄は赤血球のヘモグロビンのもとになる成分です。
CRP
(C反応性蛋白)
炎症やからだの組織が壊れた場合に増える蛋白質で、回復とともに減少するので炎症症状の目安となる検査です。