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頭頸部腫瘍・耳鼻咽喉科

特長
担当疾患
常勤医師
外来担当リスト

特長

当科について

頭頸部腫瘍・耳鼻咽喉科は、主に頭頸部癌に対する手術療法、(化学)放射線療法、再発癌に対する薬物療法を担当する診療科です。

頭頸部癌は本邦で全癌の5-10%を占める癌ですが、その中に多くの種類の癌種が含まれているため、いずれの癌も発生数が少ない希少な疾患です。頭蓋底から上縦隔までの範囲に生じる悪性腫瘍と言い換えることもでき、管腔臓器(鼻副鼻腔癌、上咽頭、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭)に生じる扁平上皮癌と甲状腺癌や唾液腺癌が含まれます。手術や(化学)放射線療法療法を駆使した集学的治療が行われます。

担当疾患

頭頸部管腔臓器に生じる扁平上皮癌

口腔・舌癌、鼻・副鼻腔癌、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌などが含まれます。これらが一般的な頭頸部癌と言えます。 治療は、発生した部位や病期(進行度)によって、手術または(化学)放射線療法を選択して治療を行います。希少な癌ではありますが、頭頸部癌治療ガイドラインに記された標準的な診療を行います。

頭頸部に生じる非扁平上皮癌(腺系癌)

頭頸部には大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)はもちろん、多くの部位の粘膜に腺組織を含んでいます。それらの腺細胞から生じる癌が、この分類に含まれます。病理組織型では粘表皮癌、腺様嚢胞癌、腺房細胞癌、腺癌など、多様な癌種が存在します。それぞれの癌種はいずれもが希少であるため、診断も治療方針の決定も難しいのが現状です。治療の基本は手術で、補助的に放射線療法を行います。

甲状腺腫瘍

上記の頭頸部癌とは性質の異なる腫瘍ですが、甲状腺が前頸部に位置することから頭頸部腫瘍・耳鼻咽喉科で扱う疾患の一つになっています。 甲状腺癌には分化癌(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌)と未分化癌が含まれ、診断も、治療についても異なった対応が必要です。大部分は、治療成績の良好な分化癌であるため、甲状腺癌と言えば治りやすい癌と考えられていますが、乳頭癌には低分化癌や未分化転化をも考慮する必要があります。

唾液腺良性腫瘍

耳下腺、顎下腺の良性腫瘍(多形腺腫、ワルチン腫瘍他)が含まれます。治療の原則は手術です。顔面神経を確実に温存する手術手技が必要です。また、整容に配慮した手術を行います。

頭頸部腫瘍は、あまり知られている疾患ではないため、まずは注意すべき自覚症状についての啓発活動が重要です。毎年7月の“頭頸部外科月間”では、早期受診の重要性が下野新聞紙上でも紹介されました。

  • 2021年下野新聞記事
  • 2022年下野新聞記事
  • 2022年頭頸部外科月間ポスター

1.適切な診断と治療方針の決定

頭頸部癌の診療は正確な病理診断と病期診断から始まります。我々は患者さんの負担を最小限にし、最少の検査で正確な診断を行います。その結果に基づく治療方針の決定には時間をかけて、根治性とQOLのバランスを考え徹底した真のインフォームドコンセントを目指します。頭頸部癌はいずれもが希少ながんであるため、画一的な選択は不可能です。標準的とされている治療法の中で、患者さんの希望を加味して治療法を選択します。人が人間らしく生きるために重要な摂食、嚥下、発声などの機能の温存に努めます。

2.質の高い手術療法

頭頸部癌の治療を考える上で手術は非常に重要です。信頼性の高いエビデンスが少ないため、我々の今までの知識や経験も参考に、患者さん本人やご家族のご希望も考慮して治療の適応/方法を決定します。手術手技では、繊細な鋭的切離にこだわりを持っています。原発巣切除でのSafety Marginの設定、内頸動脈に接した頸部転移の切離、遊離組織移植による再建手術で、その技術を生かし手術適応の拡大や根治性の向上に繋げています。

3.化学放射線療法による有害事象への対応

進行癌であっても、状況によっては化学放射線療法で根治を目指すことが可能です。しかし、深刻な有害事象を伴う治療であることも確かです。低侵襲な機能温存治療と考えられがちですが、広範囲の放射線照射を高容量シスプラチンまたはアービタックス併用で行うと、副作用のために治療を完遂できないことがあります。我々は関連各科とのSeamlessな支持療法を徹底し、治療の完遂を目指します。

4.再発症例に対する化学療法

頭頸部癌が再発、遠隔転移した場合には治療方法がないとされていましたが、最近は薬物療法を行うことが多くなっています。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を駆使することで生存期間の延長を目指す治療が行われます。我々は治療適応を判断するにあたり、患者さんに寄り添い治療方法を決定します。

5.臨床研究への取り組み

臨床で得られた知見を纏め、将来の臨床に生かすことも我々の仕事です。診断や薬物療法についての多施設共同研究に積極的に参加するだけでなく、手術療法に関する研究を発案し、それを具体的に進めたいと考えています。

 

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の研究に参加しています。

JCOG1914(頭頸部癌化学放射線療法における予防領域照射の線量低減に関するランダム化比較試験)に参加して、症例登録を行っています。

 

頭頸部癌に関する講演会を運営しています。

*栃木県頭頸部キャンサーボード研究会

栃木県内の耳鼻咽喉科医を対象にした、頭頸部癌診療の基本のレクチャーです。

オンラインでの講演会です。

 

*北関東頭頸部癌フォーラム

北関東で頭頸部癌診療を行っている頭頸部がん専門医を中心にした研究会です。

コロナ禍ではオンラインで企画しています。

6.院内他科、他業種との連携

頭頸部の疾患は、頭頸部腫瘍・耳鼻咽喉科医だけで完遂できるものではありません。放射線治療科、口腔外科、消化器内科/外科との連携は重要です。また、診療が多様になっているため看護スタッフ、薬剤師、各種技師との連携も大切にしています。

7.地域連携を大切にしています

我々は、患者さんの紹介いただいた耳鼻咽喉科クリニックの先生には、治療の各段階で詳細な報告をしています。もし、不十分な場合には地域連携センターを介してお問い合わせいただければ、改めてご報告いたします。

常勤医師

頭頸部腫瘍・耳鼻咽喉科 科長
副病院長 兼務
希少がんセンター センター長

横島 一彦

よこしま かずひこ

専門分野・実績

日本医科大学大学院卒

認定資格

日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本耳鼻咽喉科学会専門医研修指導医
日本がん治療認定医機構認定医
日本頭頸部外科学会頭頸部がん指導医
日本内分泌外科学会専門医

患者さんへのメッセージ

医師になってから約30年、頭頸部癌の臨床に専念してきました。その間に得た知識と経験をもとに、栃木県での頭頸部癌診療の充実を目指してまいります。
手術においても、化学放射線療法においても丁寧な診療を心がけています。QOLの低下を避けることが難しい頭頸部癌治療を納得して受けられるように、徹底したインフォームドコンセントを実践したいと思います。

頭頸部腫瘍・耳鼻咽喉科 医長

加藤 大星

かとう たいせい

専門分野・実績

日本医科大学卒

認定資格

日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本がん治療認定医機構認定医

患者さんへのメッセージ

宇都宮は私が2歳から4年間を過ごした場所です。幼少期を過ごした地域の診療に携われることに運命を感じています。これまで前任地で培った経験を還元できるよう頑張ります。
頭頸部癌はその病変によってはもちろん、手術や化学放射線治療といった治療自体によっても摂食、呼吸、発声・発語に大きな機能障害を起こします。時にはそれらの能力を失わざるを得ないこともあります。そのため、治療の利点・欠点をしっかりご理解いただける分かりやすい説明を行い、治療後長期を見据えた医療を提供したいと思います。

頭頸部癌の診療に興味のある医師を募集しています。
今までの経験はあまり重要視していません。重要なのはこれから頭頸部がん専門医になりたい気持ちですので、どなたでもお問い合わせください。

外来担当リスト

診療室
午前 横島/加藤 - - 横島/加藤 横島/加藤
午後 横島/加藤 - - 横島/加藤 横島/加藤

※毎週、火曜日(午前・午後)は手術日となります。

診療日

月曜日・木曜日・金曜日

手術

毎週、火曜日(午前・午後)

※緊急時などは相談の上、上記以外にも手術日を検討します。